出産・育児で受け取れるお金の違い|一時金・支援給付・育休給付を比較
出産から育児にかけて、国の制度で受け取れるお金は一つではありません。窓口が市区町村、健康保険の保険者、ハローワークと分かれ、申請の時期も異なります。この記事では、4つの制度の違いを公式ページに書かれている範囲で比べ、申請の順番を整理します。金額や条件は変わることがあるため、最終的には各窓口でご確認ください。
4つの制度を一覧で比べる
4つの制度は、お金の出どころも申請先も別々です。まず全体像を表にまとめます(金額は2026年10月26日時点の公式の記載です)。
| 制度 | 誰が対象か | 申請先 | 申請の時期 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 妊婦のための支援給付 | 医療機関で胎児心拍が確認された妊婦(流産・死産も対象) | 住民票のある市区町村 | 1回目は胎児心拍の確認後、2回目は出産予定日の8週間前の日から | 1回目5万円、2回目は妊娠しているこどもの人数×5万円 |
| 出産育児一時金 | 出産時に日本の公的医療保険に加入し、妊娠4か月(85日)以上で出産した人 | 加入している保険者(国民健康保険は市区町村) | 出産前に出産施設と支払方法を確認。申請期限は出産日の翌日から2年以内 | 子1人につき原則50万円 |
| 育児休業給付金 | 雇用保険の被保険者で、1歳未満の子を養育するため育児休業を取った人 | 事業所の所在地を管轄するハローワーク(原則、事業主が手続き) | 育児休業の開始日から4か月を経過する日の属する月の末日までに初回の手続き | 休業開始時賃金日額×日数×67%(181日目以降は50%) |
| 出生後休業支援給付金 | 育児休業給付金などを受ける人のうち、子の出生直後の期間に14日以上休業し、配偶者の要件も満たす人 | 同じくハローワーク | 原則、育児休業給付金と同じ申請書で一緒に申請 | 休業開始時賃金日額×日数(28日が上限)×13% |
妊婦のための支援給付(市区町村)
こども家庭庁のリーフレットによると、この給付は市区町村の面談(相談支援)とセットで行われます。給付額は、妊婦給付認定後の5万円と、妊娠しているこどもの人数の届出後の「こどもの人数×5万円」です。双子の場合は、人数に応じて2回目の額が変わります。
申請は、医療機関で胎児心拍が確認された後から、住民票のある市区町村の「妊婦のための支援給付」担当窓口でできます。こどもの人数の届出は、出産予定日の8週間前の日からです。流産・死産などの場合も対象で、その場合は流産等が医療機関で確認された日以降に届け出ます。自治体の取り組みによっては、クーポン等での給付を選べることもあります。申請の期限については、リーフレットに記載がありません。
出産育児一時金(健康保険)
公的医療保険の加入者が出産したとき、子1人につき原則50万円が、加入している保険者から支給されます。令和5年4月に、それまでの原則42万円から引き上げられたと厚生労働省のページに書かれています。産科医療補償制度の対象外の場合の金額は、このページに記載がありません。
支払方法は3種類です。直接支払制度では、出産施設が本人に代わって保険者に申請し、保険者から施設へ直接支払われるため、窓口で支払うのは費用総額から支給額を引いた残りです。受取代理制度は、本人が保険者に申請し、出産施設が代わりに受け取ります。償還払いは、窓口でいったん全額を支払い、本人が申請して受け取ります。どの方法が使えるかは出産施設によって異なります。
費用総額が支給額を下回るときは、差額が保険者から支給されます。差額の請求手続きは保険者に問い合わせるよう案内されています。退職などで保険者が変わった場合は、出産した時点で加入している保険者に申請します。退職後6か月以内に出産した場合は、以前の保険者から受けることも選べます(以前の保険者に1年以上継続して加入していることが条件)。
育児休業給付金(ハローワーク)
雇用保険の被保険者が、原則1歳未満の子を養育するために育児休業を取ったときに支給されます。厚生労働省の資料にある主な要件は、休業開始日前の2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月(ない場合は80時間以上働いた月)が12か月以上あること、1支給単位期間(休業開始日から1か月ごと)の就業日数が10日(10日を超える場合は80時間)以下であることです。期間を定めて雇用される人には、労働契約の期間が満了することが明らかでないことなどの要件も加わります。
支給額は、休業開始時賃金日額×日数×67%です。育児休業の開始から181日目以降は50%になります。休業開始時賃金日額の上限は16,540円、下限は3,203円です(令和9年7月31日までの額)。賃金日額は、休業前の直近6か月の賃金総額を180で割った額が基本です。休業中に会社から賃金が支払われると、その額によって給付金が減額されたり、支給されなかったりします。
公式資料では、育児休業中は申出により健康保険・厚生年金保険料が免除され、育児休業等給付は非課税であると説明されています。支給の対象期間は子が1歳になる日の前日までが基本で、パパ・ママ育休プラスを使う場合は1歳2か月、保育所に入れないなどの場合は1歳6か月または2歳までです。産後休業(出生日の翌日から8週間)は対象外のため、産後休業のあとに続けて育児休業を取る母親の場合、育児休業の開始日は出生日から数えて58日目になります。
出生後休業支援給付金(ハローワーク)
育児休業給付金などを受ける人が、子の出生直後に両親そろって休業したときなどに、上乗せで支給されます。令和7年4月1日に創設された給付で、支給額は休業開始時賃金日額×日数(28日が上限)×13%です。育児休業給付金の67%と合わせると、給付率は80%になります。上限額は28日分で60,205円、下限額は11,658円です。
要件は2つです。第一に、本人が、出生後の対象期間(父親は「出生日と出産予定日のうち早い日」から「遅い日の8週間後の翌日」まで)に、給付金が支給される休業を通算14日以上取ること。第二に、配偶者も同じ期間に通算14日以上の育児休業を取ったこと、または「配偶者の育児休業を要件としない場合」にあたることです。後者には、配偶者がいない、配偶者が無業者、自営業者やフリーランス、産後休業中などがあげられています。
原則として、育児休業給付金の申請と同じ申請書で一緒に申請します。配偶者が雇用保険の被保険者のときは、配偶者の給付金が支給決定されていることをハローワークが確認するため、配偶者の給付金が支給された後に申請するよう案内されています。
申請の順番(時系列のめやす)
公式の記載にもとづく、おおまかな順番です。個別の時期は、加入先や勤務先で確認してください。
- 妊娠中:胎児心拍の確認後に、住民票のある市区町村で妊婦給付認定の申請(5万円)。面談もあわせて受けます
- 出産予定日の8週間前の日から:市区町村に、妊娠しているこどもの人数を届け出る(人数×5万円)
- 出産前:出産施設で、直接支払制度などの使い方を確認する(出産育児一時金)
- 出産後:出産施設の費用明細と、保険者からの支給決定通知を確認する。費用が下回れば差額を保険者に請求する
- 育児休業の開始前〜開始後:勤務先(事業主)に、育児休業給付金と出生後休業支援給付金の手続きを依頼する。初回は、育児休業の開始日から4か月を経過する日の属する月の末日までが目安
- 休業中:2回目以降の育児休業給付金は、原則2か月に一度、ハローワークが指定する申請期間に申請する
申請の前に確認したいこと
公式の記載から導ける、確認事項です。
- 住民票のある市区町村の担当窓口で、妊婦のための支援給付の申請方法(窓口・書類・クーポン等の有無)を確認する
- 加入している健康保険の保険者を確認し、出産育児一時金の手続き(直接支払制度の使用可否など)を産院で聞く
- 雇用保険の被保険者かどうか、休業前2年間の被保険者期間の要件に合うかを、勤務先に確認する
- 育児休業給付金は事業主が手続きするのが原則のため、育児休業の申出と手続きの時期を勤務先と相談する
- 出生後休業支援給付金を考える場合は、配偶者の休業日数(14日以上)や配偶者の状況を、早めに夫婦で確認する
- 配偶者の要件を示す書類(母子健康手帳、住民票、医師の診断書など)を勤務先・ハローワークにどれだけ出すか確認する
よくある質問
4つの制度は重複して受け取れますか。
公式の資料では、出産育児一時金は健康保険、妊婦のための支援給付は市区町村、育児休業給付金と出生後休業支援給付金は雇用保険と、それぞれ別の制度として案内されています。重複の可否を直接述べた記載は、今回確認したページにはありません。個別のケースは、各窓口に確認してください。
出産育児一時金は、いつまでに申請すればよいですか。
厚生労働省のページでは、出産日の翌日から2年以内と書かれています。直接支払制度を使う場合は、出産施設が本人に代わって保険者に申請します。
出生後休業支援給付金は、父親だけが休めば対象ですか。
原則として、配偶者も通算14日以上の育児休業を取ること、または配偶者の育児休業を要件としない場合にあたることが必要です。父親本人は、対象期間に給付金が支給される休業を通算14日以上取る必要があります。
育児休業給付金は、誰がどこに申請しますか。
原則として、被保険者を雇用している事業主が、事業所の所在地を管轄するハローワークに手続きします。本人の希望があれば、本人が直接提出することも可能と書かれています。電子申請も利用できます。
妊婦のための支援給付は、流産や死産でも対象になりますか。
リーフレットに、流産・死産等の場合も対象になると書かれています。その場合は、流産等が医療機関等で確認された日以降に届け出ることができます。
育児休業給付金は、休業中に働くと受け取れませんか。
1支給単位期間の就業日数が10日(10日を超える場合は80時間)以下であることが要件の一つです。賃金が支払われた場合は、その額によって給付金が減額されることがあります。具体的な額は、勤務先とハローワークで確認してください。
制度ページで最新の状況を見る
出典(公式ページ)
- 厚生労働省 出産育児一時金等について(外部サイトが開きます)
- こども家庭庁 妊婦のための支援給付のご案内(リーフレット)(外部サイトが開きます)
- こども家庭庁 妊婦のための支援給付・出産・子育て(関連ページ)(外部サイトが開きます)
- 厚生労働省 育児休業等給付の内容と支給申請手続(令和8年8月1日改訂版)(外部サイトが開きます)
- 厚生労働省 育児休業等給付について(外部サイトが開きます)
最終確認日:2026.10.26 情報の確認方針